ともにもっと医学を学び”看護の殻”を破ることが”全人的”医療の基本だ!
チーム医療推進における議論では、①意識の問題(相互信頼・尊敬と協働)、②マンパワーの問題(数の不足)、③お金の問題(診療報酬が十分かなど)という論点に加え、④システムの問題(旧態然とした現行の医療職の種類と役割分担、縦割り状態)につき論じることが重要である。チーム医療フォーラムの活動の中心は①を高めることであるが、私は今日④につき皆さんに訴えたい。特定看護師(仮称)改め、看護師特定能力認証制度の議論は、システムイノベーション、新しい枠組みの構築と言い表すことができる。看護の専門性の深化ではなく医療にウィングを広げる役割拡大の際の議論の根幹はその教育・修練・評価をどうするかということに尽きる。がん研有明病院の門田守人院長はシステムイノベーションにおける「惑溺からの解放(福沢諭吉)」と闊達な変化、抜本的な見直しの重要性を強調し、その達成には共通目標を打ち立てることが重要であると述べられている。共通目標とは医療の受け手である患者・国民目線でみた質の向上と安全の担保であり、決して供給側の医療職やその教育者の都合・エゴを汲むことではないはずである。日本の看護教育
はキュアとケア、医療と看護の間に無理やり境界を設けどんどん専門性の殻に閉じこもる内向き志向が強すぎ現場と乖離するガラパゴス化に至っている。全人的に患者を診るためにも医学的知識、判断・アセスメント能力は基本で必須である。看護師にとどまらずあらゆる医療職の後進に対して先達がとるべき姿勢は自ら歩んできた道に後進を緊縛することではなく物足りなかったこと、嫌だった事から解放させることである。