私は皮膚科医です。その仕事は皮膚を見ること、実は簡単そうでとても深い。皮膚科医の「見る」は「診る」になる。さまざまな皮膚の情報を『パッと見』でとらえる、ただの3秒、それでほとんどわかります。わからなければ次のステップに進むべき疾患であるのか、または自分が無知なだけ。なぜわかるのか?帰納でも演繹でもない思考過程、シャーロック・ホームズがワトソン博士のアフガニスタン帰りを瞬時に見抜いたように、皮膚科医は経験に裏打ちされた『3秒の技術』で皮膚を見透かしています。

皮膚は人体最大の臓器、単に体を覆うカバーではありません。この診断技術を磨いているうちに、その奥の何かを知りたくなる。例えば褥瘡対策、進みゆく超高齢社会の只中で、在宅でも介護施設でも喫緊必須の課題です。予防にも治療にもエイヨウが関わる、つまり皮膚科医も栄養療法について知らなくてはなりません。褥瘡対策と栄養サポートを有機的に結びつけるためにも、皮膚科医の存在意義をアピールしたいのです。

栄養療法はすべての治療法の基盤。患者さんの栄養評価にあたって3秒で得られること、栄養不良があるかもしれないと感じられることが重要です。さりとて、3秒ですべてがわかるわけではない。3秒で感じ、3分で評価し、さまざまな計画に3×3=9分、これで語呂が良いですか。肝心なのは最初の3秒の情報を具体的に展開していく過程です。

あ、私は皮膚科医。「皮膚を見てればいいんじゃないの?」と言われても、それだけでは満足できなくなりました。皮膚の奥で心と体が繋がって、そして人と人とが繋がって生きている。皮膚科医の診る力を役に立てたい。この3秒の技術は、第一印象と直感とヒラメキのミクスチャー。いくつかのチーム医療に関わっていますが、病気をみる、人間をみる、地域をみる、そこできっと役立つはずです。「皮膚科医なんに何やってんの?」こう言われることが快感です。