岡部健という医師がいました。

がんなどの難病を患い、残された時間を自宅で過ごしたいという方の想いに応える。その為に良いと思えることなら、何でも取り入れていく方でした。

「避けることの出来ない死の現実と向き合い苦しむ人がいる場に、何故、宗教者が出てこない!」

そう言って、岡部健医師は在宅緩和ケアの現場に宗教者も引き込んでしまいます。

岡部医師の最後の夢“臨床宗教師”はそうやって始まり、その“夢”に引き込まれた宗教者のひとりが、オレです。

その“夢”に多くの人間を、まるで嵐の様に巻き込むだけ巻き込んで、岡部医師はひとり先に逝ってしまいました。

けれども、岡部医師の“夢”を受け取った宗教者が、苦しみの臨床へと少しずつ足を踏み入れています。

 

地域包括ケアという言葉が盛んに取り沙汰されていますね。これからやってくる高齢多死社会にどう対応するのか。地域の力を活かすとはどういうことなのか、オレ自身、ハッキリとは分かりません。

しかし、それぞれの地域が持つケアの力を活かすなかで、その土地に根付く宗教や信仰、死生観を利用することも出来るはず。お寺や神社、山や海の自然、お墓、お祭り、亡き人の存在など、我々はそこに目には見えない力を感じ、どうしようもない苦しみに向き合うときの支えとしてきたはずです。

岡部医師はその力を、今こそ宗教者に発揮して欲しいと思ったのでしょう。

 

今回のプレゼンでお伝えしたいのは、そのような“臨床宗教師”の話です。